秘かに蓄積していく内蔵まわりの脂肪と同様に、
毛髪にも隠れ脂肪が溜まることをご存知でしょうか?
こんにちは。
おとなキレイ向上委員会の田中です。
ここ最近、シリコン含有整髪料より安全性が高いと一大ブームになっている、手触りの良さが売りの「ノンシリコン整髪料」。
もし、つやつやサラサラになった!と喜んでいる裏側で、知らぬ間に髪の肥満が進行しているといるとしたら、あなたはどうしますか?
過保護なヘアケアと髪のメタボリックシンドローム
ダメージ修復効果がアップした高品質な新成分が、これだけ贅沢に配合されている整髪料なら絶対傷んだ髪に良いハズ!と、自信を持って顧客様に勧めてみるものの…
期待とは裏腹に、効果が持続したのはせいぜい最初の1週間位。それを過ぎるとまた元のパサパサな状態に逆戻り。
1982年から市内の美容室で美容師のキャリアをスタートし、有名メーカーに何の疑いも持たなかった修業時代の私は、この様な裏切りを数え切れないぐらい経験してきました。
これは、子供のためと思い必要以上に親が干渉する行動が実は、自ら考え行動する力を低下させている子育てと同じように、髪にとっても本来兼ね備えている自然治癒力を奪い、髪のメタボリックシンドロームを誘発してしまう過保護なヘアケアだと知るには、「医療系毛髪再生論」と出逢う1996年まで待たなければなりませんでした。
ノンシリコン系の保湿成分で高脂肪化している毛髪
1980年代後半に発売された「キューティクルコート」の爆発的ヒットからその歴史がスタートしたとされている、髪の表面の皮膜で手触りを向上させるシリコン系整髪料でしたが、パーマやヘアカラーへの影響が声高に叫ばれるとともに徐々にその姿は消えていき、それに変わるように2010年頃から登場し始めた「ノンシリコン系整髪料」。
髪のパサつきや枝毛などの髪の傷み、切れ毛や抜け毛といった将来への不安の救世主のごとく、そのダメージ修復効果は昨今の美容界のムーブメントにもなっています。
がしかし、その裏側では細毛・切れ毛のヘアダメージの相談件数は増加傾向にあります。
多くのノンシリコン系整髪料に配合されている、髪や頭皮に優しい補修効果の高い天然の植物由来の美容成分と聞くといかにも良さそうに感じてしまいますが、実はこの植物由来の美容成分が毛髪の高脂肪化を招き、細毛・切れ毛のヘアダメージを引き起こしているのです。
つやつやサラサラな手触りの正体は“バター”?
もし、あなたがノンシリコン系の整髪料類をお使いでしたら、パッケージに表示してある「配合成分」をご覧になって、下記に列記した成分が含まれていないかチェックしてみてください。
【バター脂系】
・アストロカリウムムルムル脂 (ブラジル原産のヤシの一種「アストロカリウムムルムルの実」より得られる脂肪油で、別名ムルムルバターやムルムル脂と呼ばれています)
・シア脂 (アカテツ科の双子葉植物であるシアの木から取れ、その成分のほとんどはステアリン酸とオレイン酸で、トコフェロール、カロチノイド、トリテルペンも微量に含まれ、シアバターとも呼ばれています。)
・カカオ脂 (35~36℃で融ける性質を利用し、口紅やクリーム基材として用いられる。)
最近、多くのシャンプーやトリートメント等の整髪料類に配合されている上記のバター脂系の補修保湿を目的とした美容成分は、シリコン以上とも云えるその強力な脂肪分が洗浄成分とと共に髪内部に入り込んでタンパク質に絡みついてメタボ髪となり、紫外線を浴びることで水分や油分の蒸発を招いて髪のハリコシは徐々に奪われて痩せ細り、最悪の場合はとかすだけでプチプチ切れてしまう断毛症状へと進行していきます。
【植物油系】
・ツバキ油 (オレイン酸含有量高く、リノール酸少ない為、酸化安定性が良好で、ふけ・かゆみ防止効果あり)
・パーム核油 (ラウリン系油脂。)
・ヒマシ油 (粘度が高く水分を引きつける特性から、頭髪用化粧品、石鹸の原料としてよく使われる)
・ホホバ油 (トリグリセライド成分を含有していない液体ワックスエステル。)
・ヤシ油 (クリーム基材・シャンプー・リンスの加脂剤として使用。ラウリン酸・ミリスチン酸の原料として重要)
植物油は、身体にとっては体内で作る事の出来ない必須脂肪酸を摂取するための重要な栄養源となり、髪の保湿効果も高いと謳っていますが、毛髪の保湿は、毛穴内部にある皮脂腺から排出される「皮脂(スクワレン)」という動物性オイルが担っており、キューティクルやタンパク質の紫外線酸化ダメージを引き起こす原因となる植物油は、本来は必要としない異質物なのです。
【シリコン】
・◯○ジメチコン、◯○シクロメチコン、◯○シロキ、◯○シリカ、◯○メチコン
ノンシリコンと謳っていても、トリートメントやコンディショナーに配合されている製品もございます。
これらのシリコン剤は、キューティクルの成分であるケイ素の類似成分から出来ておりますがあくまで人工的に作られた合成成分なため毛髪には馴染まず、残念ながらシャンプー剤では落とすことが出来ません。
さらに、毛髪にとってはバター脂・植物油系成分と同様に異質物と見なされるため、使えば使うほど紫外線酸化の影響を受け、乾燥やハリコシ低下を引き起こしてダメージは悪化の一途を辿ります。
老廃物化した植物性油脂分によるヘアダメージ悪化を防ぐには、美容界の常識であるトリートメントやコンディショナー等の整髪料類による栄養補給(プラス美容)ではなく、シャンプー剤では落とすことが出来ない毛髪の表面や内部に蓄積された植物系油脂やシリコンを取り除いて、本来の混ざり物の無い純粋な髪に戻す手当て(マイナス美容)が必須となります。
次回は、マイナス美容の代名詞と呼ぶに相応しい「髪のダイエット」についてお届けいたします。
あなたは髪にバターを塗り続ける勇気はありますか?
おとなキレイ·サポーター 田中和義 より