えっ!枝毛は無くなったのではなく、見えないだけ?
最近、めっきり見る機会が少なくなった枝毛。
枝毛が目立たなくなったのだから、髪は健康になりつつあるのでは?と考えるのが一般的ではあります。
しかし、髪のパサつき・切れ毛・抜け毛といった髪ダメージの悩み相談は、相変わらず増え続けています。なのに、
なぜ、枝毛だけが無くなってしまったのか?
マイサロンをオープンして10年が経過した2005年頃、こんな疑問がフッと頭を過りました。
いったいあなたの髪に今何が起こっているのか?
そこに至るまでの時代背景と原因を一緒に探っていきましょう。
目次
髪ダメージの定番だった枝毛はどこへ消えたのか
私が技術者としてカットデビューしてから約2年後、1980年代後半〜90年代前半に掛けては「髪のダメージ=枝毛」というくらい悩み相談の中でも群を抜いており、施術メニューに枝毛カットが存在するほど、髪ダメージの定番として君臨していました。(鏡の前で枝毛をチョキチョキ切っていたのでは?)
しかし、この時期発売されたある一つの画期的な整髪料で、それまでの枝毛の悩みがウソみたいに晴れてしまいます。
枝毛をラッピング加工して包んでしまう新発想
1980年代後半〜90年代当時は、枝毛が出来たら切るしか無い!と言われ続けていましたが、そんな時、救世主として登場したのが 「枝毛コート剤」。
キューティクルの主要成分であるケイ素を,化学合成の力を借りて「液状型合成シリコン」を主成分とした枝毛専用の補修整髪料として製品化。
わずか1〜2滴を枝毛の部分に付けて乾かすだけで、髪を包み込むシリコン特有のラッピング効果で、一瞬にして枝毛を目立たなくしてしまう魔法の様な製品で、日本中の枝毛に悩む方達を魅了してしまいました。
当時、枝毛に悩んでいたあなたでしたら、一度は使用したり目たり聞いたりした覚えがあるのではないでしょうか。
強力なキューティクル保護作用が美容技術に悪影響を
私がサロン勤務でスタイリストだった当時、その使用感で一瞬にして虜になり顧客様にもイチ押ししていた「枝毛コート剤」、使用した時は良いのですが継続しても一向に枝毛は無くなりません。
それどころか、パーマが掛かりにくくなったり、ヘアカラーが染まりにくくなってしまうなど、実に美容師泣かせの症状が次第に明るみに出てきたのです。
その後、改良された整髪料が次々と発売されますが枝毛の根本的な症状改善には至らず、主成分である「シリコンは髪によくない」との風評が広がるにつれ、知らぬ間に枝毛コート剤は美容界から姿を消してしまいましたが、私の心のイライラは日に日に募るばかり…。(この事が切っ掛けで私の心の中に徐々に芽生え始めた美容メーカーに対する不信感が、後の独立に繋がります。)
合成品から自然由来油脂へのシフトで「見えない化」が進行
2000年代に入ると、ヘアカラーやデジタルパーマのブームとともに、髪型を整えながら傷みを補修するタイプのスタイリング剤が登場しますが、髪ダメージは良くなるどころか悪化の一途をたどり、枝毛の症状もますます酷くなっていきます。
そして、北半球のオゾン層の破壊が進み紫外線が増加した影響からか、2005年頃より冬の定番だった髪のパサつきが1年中収まる気配が見られず、整髪料に保湿性の高い油脂成分を大量に配合するようにシフトチェンジが行なわれてから徐々に枝毛は姿を消していき、2010年以降「自然由来の油脂成分配合のノンシリコンタイプ」の整髪料がブームを迎える頃には殆ど見られなくなりました。
美容のプロも知らない裏側に隠された真実
枝毛が無くなり手触りも良くなっているのだから、髪は健康になったのではないの?
そう考えているあなたは、かなり危険と言えます。
なぜなら、美容師やプロの美容家と呼ばれている方達もココで大きな間違いを犯しているからです。
枝毛は無くなったのではなく「見えない様に加工されている」のです。
要するに、キューティクルにある7つの層の隙間に、自然由来の油脂成分が染みわたって油脂皮膜でフィルム加工され、枝毛が見えないように隠されてしまっている、これこそが枝毛が消えてしまった正体なのです。
もし、このまま油脂皮膜で加工された状態が長期間続いたとしたら、鼻と口を1度に手で塞がれると呼吸困難で苦しむように、キューティクルを開閉させる髪呼吸が出来ずに髪内部が痩せ細って空洞化を引き起こして死に追いやられ、切れ毛となってしまいます。
枝毛解消に導く手当てはトリートメントによる補修補正ではなく、毛髪の表面から内部にかけて浸透している空洞化の引き金となる油脂成分の除去にあるのです。
あなたの髪、油脂皮膜で呼吸困難になっていませんか?
おとなキレイ·サポーター 田中和義 より