育毛への間接的な影響を危惧する、トランス脂肪酸の行方

細毛や抜け毛のリスクを軽減するためにも、食の欧米化が進んでいる日本に於いても早急な対応を望みます。

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photo credit: CrazyFast via photopin cc

今週末、今後の育毛や健康に大きく関わってくるであろうニュースが連続して報道されたことを受けて、今日と明日の2日間にわたってこのブログで取り上げてみたいと思います。

 

トランス脂肪酸の摂取で考えられる育毛へのリスク

本日、話題とするニュースは「トランス脂肪酸」について。

トランス脂肪酸、米で全面禁止へ 健康への悪影響理由に
2013年11月8日10時09分

 米食品医薬品局(FDA)は7日、ファストフードやお菓子などに多く含まれ、とりすぎると動脈硬化などの原因になるとされるトランス脂肪酸の使用を全面的に禁止する方針を固めた。今後60日間で国民から意見を募り、開始時期などを含めた規制の詳細を決める。

米国では2006年から既に加工食品に含有量の表示を義務づけ、自治体により独自に使用を規制しており、今回発表された米食品医薬品局(FDA)の「全面禁止」の厳しい措置に対して、日本の消費者庁の対応はと言いますと、、、

【日本における規制】
現状→厚生労働省が推進している保健機能食品がトランス脂肪酸商品を認可。消費者庁は商品への含有量の表示のガイドライン作成を決めたが、摂取は個人の判断にゆだねる方針
日本人として平均的な食生活を営んでいる場合→1日に摂取するトランス脂肪酸は全カロリー中0.3%(食用加工油脂の国内の生産量からの推計で0.6%)で、米国では2.6%

米国と比べあまりにも楽観的。これでは「摂取量が少ないからそれほど危険ではない」「もし健康被害があっても国としては責任を負いかねます」と言っているに等しく、今後ますます食の欧米化がすすめば確実に増加することが考えられ、継続的に摂取し続ければ確実に健康を脅かすリスクは高まります。

 

トランス脂肪酸の使用用途と人体への影響

トランス脂肪酸はどんな用途で使用され、どのような食品に含まれているかを調べてみました。

トランス脂肪酸
【トランス脂肪酸を多く含む食品】
マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング、食感改善効果が高いため、ビスケット、パン、ケーキ、スナック菓子などの小麦粉加工食品
ショートニング→「ファーストフード店での揚げ物のカラッとした食感」→加熱による空気酸化で過酸化脂質が生成

【人体への影響】
摂取に伴うリスクとして指摘されているのは、主として虚血性心疾患(冠動脈の閉塞・狭心症・心筋梗塞)の発症と認知機能の低下
中年~老年の健康な女性(43〜69歳、米国)→摂取量が多い群ほど体内で炎症が生じている→アトピー・不妊症のリスクが高まる

これは身体のことであって髪には関係ないのでは?と考える方が多いかと思いますが、毛髪は、体内から出た不必要な重金属類や老廃物等の排泄器官です。胃腸をはじめとする内蔵で消化しきれなかった老廃物や汚れカスは最終的に、血液に混ぜられ血管を通って毛根へと運ばれ“毛髪の健康を侵す”のです。

上記に示されている人体への影響から推測すると、もし、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングを使用した加工食品などの摂取量が多いとしたら、消化不良の老廃物や汚れカスが髪の製造工場(毛母)にダメージを与えてヘアサイクルを狂わせたり、過酸化脂質によって皮脂腺の分泌バランスを乱すなどの影響から皮脂過剰を招き、「細くて抜けやすい髪」「頭皮のベタつき」を育ててしまう恐れが懸念されます。

 

食生活による軽減と健康を守る知恵

近年、規制によりトランス脂肪酸が軽減した反面、飽和脂肪酸の使用量が増加しており、肥満、動脈硬化、虚血性心疾患などの健康被害が危惧されることになっています。

飽和脂肪酸

「アメリカ心臓協会による2006年版の食と生活の勧告より参照、脂質関連項目の抜粋。」
・脂質は、全カロリーの25~35%までとし、大部分は一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸とすべき。
・飽和脂肪酸とトランス脂肪酸を含む食物を、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸を含む食物に替える。
・飽和脂肪酸の摂取を制限するために、肉は皮が取り除かれていて脂肪の少ないものを選ぶ。また、低脂肪の乳製品を選ぶ。
・少なくとも週2回は魚を食べる。魚の油は多価不飽和脂肪酸のω-3脂肪酸を含み、心臓疾患のリスク低下と相関関係がある。
・トランス脂肪酸を含むものを減らす。固形マーガリンを含む食べものや、フライドポテトを制限する。
・コレステロールは1日に300mg以下にする。

日本の国立がん研究センターが4万3000人を追跡した大規模調査では、乳製品の摂取が前立腺癌のリスクを上げることを示し、カルシウムや飽和脂肪酸の摂取が前立腺癌のリスクをやや上げることを示した。

これからは流通経路も変わり大量消費の時代も終焉に向かい、ますます国民一人一人の危機管理能力が問われることが予想されます。少し厳しい言い方をすれば、騙す方は特に悪いのですが安易にブランド力を信じて騙される方も悪いのです。自宅で消費する食品や生活用品においても厳しい目でしっかり吟味し、ブランド力だけで判断しないこと。自分の健康は自分で守る以外には無いのですから。。。

問題が起こっても“国は守ってくれない”ことを肝に銘じておきましょう。

おとなキレイ·サポーター 田中和義 より