教えて!美肌と美髪の実現に欠かせない殺菌力、除菌ではダメなの?

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ただ汚れを落とすだけでは、お肌と髪の健康を守れない時代がスグそこに…

私が幼少の頃は、大人数で仲良くが基本でしたから、遊びで使うおもちゃなどは少々汚れようが傷つこうが、友達皆で取っ替え引っ替え使っていたものです。

しかし今はどうでしょう?

チョットでも汚れが付こうものなら、やれバイキンが付いて不潔だ!、やれスグ除菌しなきゃ!

他人が触っていたから今触ると雑菌が付いてしまう、誰が触ったかわからないから消毒しないと触りたくない。

菌の世界にも、善玉と悪玉がいるにもかかわらず、菌=悪にしてしまって退治しようとやっ気になっています。

この何でもかんでも除菌・殺菌してしまう行為が、私たちの身体や住んでいる環境の善玉菌と悪玉菌の生態系のバランスを壊し、

人間の持つ抵抗力でも排除できない、全く異なる形に進化した「未知の菌」を誕生させてしまっています。

近年、発見されている鳥インフルエンザは進化した「未知の菌」の代表格で、大量の抗生物質と地球温暖化によって「より強力に生まれ変わった悪玉菌」といえるでしょう。

 

殺菌と除菌の違い

殺菌と除菌では何がどの様に違うのか、調べてみました。

殺菌とは、病原性や有害性を有する糸状菌、細菌、ウイルスなどの微生物を死滅させる操作のこと。電磁波、温度、圧力、薬理作用などを用いて細菌などの組織を破壊する、生存が不可能な環境を生成することで行われる。
主な目的:病原体の除去、感染症の予防、食品の鮮度保持、など。

除菌は、対象物から菌を除いて減らすことで。手を水で洗うことから、ろ過などにより菌を取り除くなど、様々な程度の範囲がある。対象や程度を含まない概念である。
除菌に用いる次亜塩素酸ナトリウムや消毒用エタノールは、直ちに殺菌効果がなくなるため、塗布しても継続的な防カビ効果は無い

【出典元:殺菌・除菌 Wikipediaより】

 

お肌と髪の健康維持に必要な皮脂バランスと殺菌力

健康な人の身体には、多くの微生物や細菌が存在し(多いところでは皮膚1平方cmに10万個以上)、腸内には100兆個、皮膚には1兆個以上棲息していると言われ、

人間の身体は大体60兆個の細胞でできていますから、いかにたくさんの菌と共生しているかがわかります。

(代表される皮膚常在菌としてはプロピオニバクテリウム属(アクネ菌もこの一種)や表皮ブドウ球菌(※1)、黄色ブドウ球菌、マラセチアなどがあり、2009年にサイエンス誌に掲載された論文では205種類が同定。)

なかでも、善玉菌は身体の健康維持に貢献し、悪玉菌は身体に害を及ぼすとされ、現れる場所によって害を及ぼす病原となる場合があるので、いるべき場所にバランスを保って存在する事が大事であるといえます。

近年、お肌や髪の健康を害する発症事例が増加している「脂漏性皮膚炎」「頭皮湿疹」などは、洗い過ぎや大量に配合されている油脂分の影響で皮脂の分泌バランスが過剰気味に傾き、マラセチア真菌がたくさん繁殖してしまったことが考えられます。

このケースでは、お肌や髪に悪さをしている菌その物をなくさない限り症状改善に向かわないので、菌を減らすだけの除菌ではなく、

元を断つ殺菌力が必要になるのです。

おとなキレイ·サポーター 田中和義 より

【役に立つ知識:番外編】

皮膚常在菌、皮膚の上に存在する微生物について

表皮ブドウ球菌:皮脂成分のトリグリセリドを脂肪酸とグリセリンに分解。
脂肪酸は酸性であるので皮膚を弱酸性に保ち、アルカリ性が大好きな病原菌が増えるのを防いでいます。

アクネ菌:にきび菌として有名ですが、日頃は表皮ブドウ球菌と同じように働き、皮膚を守ってくれる大切な菌。
思春期や、食事の内容が肉に偏ったり、ストレスがあって皮脂が過剰に分泌されると毛穴に棲んでいるアクネ菌が異常に増殖し、炎症を起してにきびができてしまいます。

黄色ブドウ球菌:身のまわりのあちこちにいて、多くのヒトの皮膚にも棲みついている菌。
普段はおとなしくしているのですが、皮膚がアルカリ性に傾くとがぜん元気になります。
ひっかき傷やけがのじゅくじゅく、洗い過ぎでお肌がアルカリ性になると増えて、炎症やかゆみを起します。
手の傷が原因の食中毒や、とびひはこの菌が原因です。

マラセチア真菌:酵母菌の1種。正常な皮膚では、マラセチア菌がいてもあまり影響がありませんが、脂漏性皮膚炎やフケの原因になったり、デンプウという病気の原因になったりもします。アトピー性皮膚炎の増悪因子であることが報告されています。